「あ、食いしん坊キャラ」
「は?」
ばっとあたしは勢いよく口を押さえた。ななな、なんてことを言ってるのあたし!この頭より先に口が出るタイプの性格がこんなところで役に立ってしまうなんて!(役にも立ってないけどね!)目の前に居る宵風君(年齢不詳)は怪訝な顔でこっちを見てる。そりゃあそうだよね、誰だってそう思うよね。あたしだってそうだよ。でもさ、しょうがなくない?あたしだって好きでこんなとこに来たわけじゃないししかも何!?何でよりによって隠の王の中で一番好きなキャラのもとへ飛ばすのですか神様ぁぁぁ!まあ兎に角落ち着け。落ち着くんだあたし。まずはさっきまで何してた?隠の王読んでた☆その後どうした?あくびしたら突然こんなとこに来ちゃった☆(パジャマじゃなくてほんとによかった!)目の前にいるのは誰だ?あたしの大好きな大好きな宵風君だ☆・・・・ってやっぱし状況改善できねーじゃんかー!!それよか宵風君が近づいてきてるぞ!?あの宵風氏が歩いてきているぞ!?どーする!?選択肢は3つ!
1、逃げる 2、戦う 3、チョコレート
3番って何なの!?チョコレートって何!と、とにかく逃げるぞ、あたし!原始的な方法で逃げるよ!

「あ、チョコレート!」
「えっ」
宵風の後ろを指差して叫ぶ。まさか引っかかるなんて思っちゃいなかったけど、宵風はしっかり引っかかってくれた。それをチャンスにあたしは逃げる。逃げる逃げる。逃げるったら逃げる。ちら、と後ろを振り向く。紫色したオーラをかもし出して宵風が追いかけてくる。(こ、こえー!)(振り返って損した!!)恐怖の所為で足がすくむ。こける。宵風が追いつく。覚悟を決める。腕を掴まれて立たされる。半泣きで立ち上がる。宵風が真剣な顔してあたしに言う。


「チョコレート、どこ」
「・・・・は?」



腰と一緒に魂が抜ける。

















食いしん坊キャラについて。
(チョコレートどこなの?ねえ・・・ねえってば)