あたしはいつも思う。雷光さんって、余裕だなぁって。何でってホラ、一緒に居る・・・あの子何ていうんだっけ・・・えーと俄・・・蛾?あ、そうそう俄雨くん!あの子やたらと宵風に向かってぎゃんぎゃん喚いてるけど、それにものともせずにべしっていく姿、さすが上司だなぁと思う。
「あれ・・・?どうしたの、こんなところで」
「あ・・・雷光さん!」
噂をすれば何とやら、雷光さんはひょこっていう効果音がぴったりな感じで出てきた。か、可愛い!悔しいけど、凄く可愛いよ雷光さん!
「雷光さんこそどうしたんですか?」
「うん?うん、そうだねえ仕事無いからふらふらしてたらに会った」
「そうなんですか、私も今丁度仕事無いんですよ」
「お、奇遇だねえ」
「ですねえ」
あんなに俄雨くんの前ではたくましいのに、こうやって喋ってみるとすごくほんわかしてる。あー今更だけど何で雷光さんがモテるのかがよくわかったよ。何ていうか・・・ときめいちゃうのは自然現象だよね。本当に悪い事したの?って聞きたくなるくらい優しいし。いいお嫁さん、じゃなくてお婿さんになるよね。奥さんを大事にしそう。
「ってばどうしたの?考え事?」
「あ・・・はい、そんな感じです。考え事っていうかぼんやりするだけなんですけど・・・・」
あはは、と笑うと、雷光さんもあははと笑った。もう可愛いね、写真取って売り捌いたら凄い事になりそうだね。
「今やましい事考えてたでしょ」
「え!?そ、そんなことはないですよー」
なかなか鋭い。ほんわかしてるくせに鋭い。
「まぁね、僕自身結構綺麗だと思うから、このセンスにこの見た目」
「うーん・・・センスはいいとして見た目はすごく素敵ですよ!」
「そうだよね、僕センス悪いけど見た目いいよね」
「そうですよ」
「あはは」
「うふふ」
雷光さんとにっこり笑いあう。あたしも負けじと笑い返すけど、怖い!怖いよ、雷光さん!
笑顔の裏にブラックなよからぬモノが見えてすごく怖いですよ!
「ところで。好きな人居る?」
「えっ・・・それって・・・え?居ます、けど・・・」
あたしは驚いた。こういう質問ってさ、あれだよね?小指と親指で表す関係、だよね?あれ、違う?
おろおろと視線を彷徨わせるあたしに雷光さんは笑顔のままで、
「あぁ、うん。じゃあ俄雨に言っておくね」
とバッサリ期待しているあたしを切り捨てた。つ、つよい・・・!
雷光さんの一言でぐっさりと心の中を抉られたあたしは恥かしさもあって穴の中に入りたいと思った。
そんなあたしを見て雷光さんがくすりと笑う。
いやー!やめてー!そんな笑われると本当に穴の中入っちゃいます!
「あ、今がっかりしたでしょ」
「し、してません!」
また鋭く突いてきた雷光さんに負けじとあたしも言い返してみる。うん、言ってみると案外できるもんだね。
「あのねえ、その質問は俄雨から何だけど、僕からも質問あるんだ」
「は、はい!なんでしょー!」
怖いぞ怖い。次はどういう抉り方をしてくるか、凄く怖いぞ!
「、僕の恋人にならない?」
「・・・・はい?」
間抜けな顔で言葉を返したあたしに、雷光さんはやっぱりにこにこと笑って言った。
「、好きだよ」
「な、ななな・・・!」
にっこり笑って言う雷光さんに、あたしはときめいちゃって、心臓がばくばくとうるさかった。
「で、お返事は?」
「へ、え・・・?え、あのですね・・・わたくしもですね・・・そのですね・・・」
「ふふふ、かーわいー!」
「ぎゃわっ!?」
わーあったかーいじゃなくて!雷光さん!何で抱きついてるんですか!何であたしの顔の横でピンク色がふわふわしてるんですか!
「ま、のことはぜーんぶわかってるから☆」
「そ、そういうこと言わないで下さい!」
「ふふん、やーだねー!」
仕返しにぎゅって背中に回したてを強くしてみたけど、雷光さんはうふうふ笑ってるだけだった。
く、くやしー!
全力少女